ミュージカル 素人の遠吠え……ワオ〜ン

[etc.06]>>>> 2008/5/27

東宝ミュージカル
「ルドルフ ザ・ラスト・キス」

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2008年5月6日〜6月1日/帝国劇場
音楽/フランク・ワイルドホーン
脚本・歌詞/ジャック・マーフィー
追加歌詞/ナン・ナイトン
演出/宮本亜門

観劇日 2008年5月26日ソワレ


★久々の帝劇でごわした……。いや〜有楽町にはちょくちょく行ってるけど、主に日比谷口方面だからね☆

と、私の近況はともかく、堅実な作品でしたね。
なんというか、あれだけの創りをしているのに、見終わった後味があまり残らないのが勿体ないというのが正直な感想です。悪くはないが、「評価すべき箇所が多い」という印象で、がっつりハートを鷲掴みしてくれなかったのです。その分……勿体ないなあと。

作品
王子的華やかさと確かな歌唱力の井上くん、若手ではもうぶっちぎりの歌唱力の笹本ちゃん。この二人が主演し、尚且つ脇を固める堅実な布陣が聞かせる海外ミュー。……帝劇っぽいなあと正直思わなくもないけど、やはりレベルは高く、いわゆる「耳福」ではありました。

が。歴史が下敷きになっている分、色々なものが「知識として知っている」登場人物に収まってしまっていて、誰にも感情移入が出来なかった。それが最大で、且つ唯一の難点だったように思います。
あらすじ程度にはそれぞれの人物の背景は分かりますが、それがそれぞれの役に結びついた演出がなされてないない。つまり具体的な人物像がはっきりしない。
「○○は▲▲▲な人物。で、■■したの」と口で説明されても、人物像が膨らまない感じ。ミュージカルのキャラクターとしての味付けが欲しいところ。別に無駄なケレンを求めている訳ではなく、心にしみ込ませて欲しい。
例えるなら、水を飲んでもただの水だが、お茶になったり麦茶になったり紅茶になったりする事で味の違いも、飲む側の好みの差も出て来る――そんな感じだ。
何を求め何に嘖まれているかは分かる(というより知っている)。
でもそれが、「もしその立場が自分だったら?」と思える程の感情移入が全く出来ず、逆に感情移入が出来る程であったなら、ものっそい大好きな作品になったのだと思う。
それはやはり脚本家の仕事であり演出家の仕事。それを見せて欲しかった。

ところでやはりフランク・ワイルドホーンの楽曲はめちゃめちゃすばらしい……!!! ドラマチックに物語を盛り上げてくれるんだよなあ。
一幕の終わりのマリーのソロと、二幕のマリーとターフェーの歌と、ルドルフとマリーの「ただ君のために」は最高だ。しかし歌はいいが、舞台全体の印象が。………………。…………。……。

演出は宮本亜門。私は人生初亜門でした。………………。…………。……。

キャスト
で、キャスト!(亜門へのツッコミは!?)
ちょっと今回辛口に終始してしまって、申し訳ありません。トホホ。
なんていうか、当たり前にみんな上手くて、逆に褒めどころがみつからないというか……。う〜ん。

井上芳雄●ルドルフ
歌が上手い。演技も良い。でもいつも思うんだけど、綺麗め過ぎてパンチがないかな。彼の高めの音がまろやかで物足りなくて…。

笹本玲奈●マリー・ヴェッツェラ
歌が上手い! そして感情の発露がいい! やっぱり彼女の歌は大好きだ〜。でもファンはならないんだよなあ…。う〜ん。

知念里奈●皇太子妃 ステファニー
得意な音域が狭いのかな? 低めのキーが多いので大変そうだなと思った。
でも演技はかなり好演。

香寿たつき●ラリッシュ
マリーの良き理解者ラリッシュを好演。押し付けすぎない演技がすごーく良かった。

浦井健治●ヨハン・ファイファー
道化で狂言回し的な役どころだけど、演出の上でそれが良いケレンになってなかった。やはり狂言回しにはきつねにつままれるような感覚でもって、ぐっと舞台に引き込んで欲しい。
浦井くん自身は良かったと思う。やはり浦井くんの歌声と舞台での立ち居振る舞いは大好きだーーー!!!

岡幸二郎●オーストリア首相ターフェ
すげえ! 超ハマり役!! 政治を操作する腹黒く且つクレバーな役どころを見事に表現してて、「岡幸二郎ここにあり」なハマりっぷり。舞台メイクも最高だ! マリーとの歌はぴんとした緊張感が鳥肌ものだ!


●それからやっぱり岸さん大好きだ!
●お父ちゃんフランツ役の壤さんもすげー声がいいなあ〜! 出来る事ならもっと親子の対立をドラマチックに演出したシーンが見たかった。

そんな感じでございますた。
バーコード
etc.