■ Simple-mindeness ■
〈R18 / For Adult Only〉


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「せ、せめてシャワーくらい浴びさせて……!」
「……もしかして、恥ずかしいのかい?」
「あ……当たり前、でしょ」
「……いいよ。このままのきみがいい」
「ちょ……。み、御影ッ! やぁン」
 普段は見た目通り、ちょっと落ち着いた声質をしているのに、初めてのことに戸惑う彼女の声はいつもよりもずいぶんと高かった。新たな発見に胸がうずいた。
 もっと色んな彼女を知りたかった。ただにこにこと笑う優等生の彼女じゃない。彼女の本音を。笑顔で取り繕ったりしない、素の彼女を。
 御影が制服のままの彼女をベッドに押し倒し、その上に覆いかぶさる。その時に彼女が心配げに問いかけた。
「傷……大丈夫なの?」
 覆いかぶさりつつも、彼女に体重をかけないように四肢で身体を支えているので、それを彼女が心配したのだ。それに対し、けろっと御影が答える。
「ああ。傷はね、もう治ってるんだ。ただ治ったって言っちゃうと、きみと一緒にいる時間が減ると思ったからさ」
 彼女が登下校や教室移動の時に付き添ってくれているのは飽くまでも怪我を心配してのことだったから、言いだしたくなかったのだ。
 するとまたしても彼女の頬が染まった。
「……ホント?」
「ああ。ホント」
 そう言うと、彼女が少し嬉しそうにはにかんだ。そんな表情を見て、一瞬手が止まる。
 彼女はいわゆる「憧れのお姉さま」という奴で。
 だが今目の前にいるのはお姉さまというか、そんなんじゃ全然なくて。――可愛くて。
 御影は思わず彼女に口づけずにいられなくなった。こんなの反則だ。何が憧れのお姉さまだ。
「ゆかり」
「んン……」
 突然の深いキスに驚いた彼女が、肩をすくませた。こういったことに不慣れなのがよく分かる。
「……もしかして、こういうふうにキスするの初めてかい?」
 すると彼女がばつが悪そうにうつむいた。その唇から糸が引く。
「……当たり前、でしょ」
 照れてすねる彼女が可愛かった。
「じゃあ、わたしとのキスがファーストキスだった?」
 そうたずねると言葉以上に彼女の表情が饒舌に答える。顔をそむけたまま、ただでさえ赤い顔がもっと赤くなった。
「……悪かったわね」
 その答えに胸がうずいた。もう一度唇を唇に押し当て、閉じられた唇を舌で押し開く。
「……んン」
 少し乱暴なくらい舌でかき回すと、彼女が御影の制服の袖をぎゅっと握った。彼女の舌を巻き取り、舌先で何度も責める。何度も。何度も。すると戸惑って小さく身体を震わせる。それでも容赦せず、今度はぬちゃぬちゃと激しく責め立てると、さらに手に力が込められた。
「ぁ……ん」
「ン……」
 唇を離すと糸が引き、それが恥ずかしいのか唇を巻き込む仕種が可愛かった。
「可愛い」
「…………」
 御影は、何も言えず黙り込む彼女の首筋に唇をはわせた。
 そうしながら彼女の制服のリボンに手をかけた。するりと抜きとり、ついでにブラウスのボタンもいくつか外す。顔をのぞかせた鎖骨に舌をはわせるとくすぐったいのか彼女が肩をすくめた。
 ジャケットのファスナーを下ろし、ブラウスのボタンをはずしていく。淡い水色のブラが見えた時、ゆかりが声を上げた。
「待って」
「……何?」
「やっぱり、シャワー浴びたい」
「気になる?」
 そうたずねると、こくりとうなずいた。けれど寮には大浴場とシャワールームしかないし、シャワールームは各個室にはない。三階のシャワールームへ行かせて、その間お預けを食らったままでいるなんて耐えられそうになかった。
「だめ。今すぐきみが欲しい。いいよ、そのままで」
 そう言うと、身を固くしてしまう。けれどそのまま再開しようと再びボタンに手をかけた時、その手をがっちりと握られ、再び彼女が声を上げた。
「せ、せめて電気消して」
 そのちょっと切羽詰った声から、ははーん、と察した。
「恥ずかしいんだ? エッチするのが、そんなに」
 すると彼女が真っ赤になる。なんだか分かりやすい。普段はポーカーフェイスばっかり浮かべてるくせに、こういったことにはとんと弱いようだ。
 そう思うと意地悪な気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
「時間稼ぎしようとしたってだめだよ。電気も消さない。消したらきみの可愛いところが見えなくなっちゃうからね」
 そう言ってわざと、彼女の可愛いところ――足の付け根に指をはわせた。
「やっ!」
 驚いて彼女が高い声を上げる。そのちょっと高めの声が余計に胸をうずかせる。
「大丈夫。きみの嫌がることはしないし、きみが本当に嫌になったらやめてもいい。だから……ね?」
 まるで子供に問いかけるみたいだ。普段ならとてもじゃないけど、彼女にこんなこと言えやしない。
 すると彼女が少し顔を上げて言った。
「ホントに? でも……途中でやめたりなんかしたら……」
 そしておびえるように言う。
「……嫌いにならない?」
 ………………………………………………駄目だ。
 途中で止めるとかありえない。
 こんなふうに初めてのことにおびえる彼女が可愛すぎて、このままひん剥いて彼女の嫌がることばかりしたくなる。その気持ちを抑えて言った。
「ならないよ。だから……」
 すると彼女がこくりとうなずいた。そして恐る恐る手の拘束を解く。それから身をゆだねるように両手を身体の脇へと置いた。
 恐らくどうしていいか分からないからなのだろうが、従順な仕種に眩暈がしそうだ。
 ボタンを外しきり、ブラウスをはだけさせる。すると羞恥に瞼を震わせる彼女。その瞼にキスをして、もう一度彼女に覆いかぶさった。そして背中に腕をすべり込ませて、ブラのホックを外した。
 制服の上からでも分かるほど豊満な彼女の胸はともてやわらかそうで、美味しそうだった。ブラに手をかけ、上によける。小さなピンク色の突起が顔をのぞかせ、彼女がきゅっと目をつぶった。
「なめてもいいかい?」
 耳元でわざとそう聞くと、目をつぶったまま彼女が怖々とうなずいた。普段なら決してこのくらいでお伺いなど立てないが、あまりに彼女が可愛いのでついいじめたくなってしまうのだ。ベッドの上で身を固くする彼女は予想を裏切らずとても可愛かった。
 お許しが出たので、ゆっくりとその小さな突起を口に含んだ。ふっくらとしたそれは、まだとてもやわらかい。
 唇が触れた瞬間、ぴくりと彼女が身体を震わせた。舌でこね回し、そしてもう一方の左の胸に手を添える。ふにゃりとした感触はとろけそうにやわらかい。本当に食べられそうだ。
「……どう?」
「……わ、分からないわよ」
 困ったように少し高めの声で、真っ赤な顔の彼女が答える。
 そりゃそうだ。ちょっと触っただけなのだ。
「大丈夫。気持ちよくさせてあげるよ」
 耳元でそうつぶやくと、一瞬驚いて目を見開くが、けれど色々な気持ちがない交ざった顔をして、すぐにまたきゅっと目をつぶってしまった。
 可愛い。
 御影はゆかりの胸をやわらかく揉みしだきながら、小さな突起に吸いついた。くにゅくにゅとやわらかくて、甘い。唇と舌で転がしながら根元をやさしく揉み上げると、彼女の身体が少しこわばる。舐めたりやさしく歯で噛んだり、刺激を与えつつ彼女の表情をうかがうと、懸命にこらえようとして睫が震えていた。すがるようにベッドカバーを握る手が可愛らしい。
 もう一方をこね上げつつ、少し身体を起こした。鎖骨に口づけ、つややかな喉を舌でなめ上げる。やわらかな曲線を描く顎をはみ、そして唇にキスを落としつつ、爪の先でやさしく乳首をこすると、その感触に驚いて彼女が声を上げた。
「やぁ……!」
 やっぱり少し高めの声だった。羞恥にますます顔を染める。
 胸の先の尖りが固くなっていた。
 なめらかな横腹をなで上げるとそれだけで、小さく震える。
 唇を吸い、一層彼女の胸を揉んだ。やさしく、時に乳首を責め、やわらかなふくらみを弄ぶとこらえ切れずに唇から控え目な声がもれ出す。
「ん……ン……」
 吐息ごと飲み込むように彼女に深いキスをする。
「ふ……ぅん、ン……」
 絡む舌に彼女が戸惑いを見せた。胸を愛撫しながらもう一方の手でむき出しの肌をなで上げると、少し身をよじって逃げようとするので、逃れられないように身体を押し付けて押さえつける。
 そうしながら顔をずらし、彼女の耳に口づけた。耳たぶを舌と唇で挟み込み、歯で甘がみする。そのまま甘がみしながら耳たぶにそってなめ上げると、彼女が甘い声を出した。
「やぁ……ン。ダメ……ッ」
 ふるふると身体を震わせ逃げようとするから、一層身体を押しつけた。全身で押さえつけて逃げられないようにしてから、さらに耳を責めた。
「いやっ……。……ぁン!」
 もがいても責苦から逃れらず、拘束が解かれることもない。御影は舌を耳にねじ込み、自分の唾液ごと彼女の耳を吸い上げた。
「あああぁン!」
 彼女の口から普段聞くことのできない甲高い嬌声は媚薬のようだ。
 首筋に舌をはわせ、それを徐々に下ろしていきやわらかなふくらみをたどる。もう一度小さな突起を口に含むとそれだけで彼女が身をよじった。
「……やぁン!」
 転がすようになめ、もう一方の尖りにもしっかりと刺激を加える。その刺激に彼女がよがった。
「いやあぁ……」
 その瞬間、制服が一層はだけ、むき出しの胸が揺れた。そんなゆかりは彼女にそのつもりはなくとも扇情的で、なまめかしかった。
 以前から思っていたことだったが、ゆかりはスタイルがいい。身長が高いせいで何を着ても見栄えがするし、彼女自身はどうやら自分自身の身長をコンプレックスに思っているようだが、決してコンプレックスに思う程ではない。それに手足も長く、ほどほどに肉づきもある。さわり心地がいいのだ。――それに。
 この胸。
 それこそ大きいからとコンプレックスがあるらしいが、大きくて形も良くて、おまけに手触りも良いとくればこんなに幸せなことはない。――御影にとっては。
 触れるたびに程よい弾力で震える胸は、それだけで御影の興奮を煽った。
 唾液で濡れた突起をこね回すと、こらえ切れずにゆかりが声を出す。
「ンン……ぁン」
 甘ったるい湿り気を帯びた高い声が御影をさいなむ。
 ついに御影は舌で胸を愛撫しながら、そっと手を下げた。うっすらと染まり始めた肌をたどり、太ももに触れる。驚くほどやわらかい。内ももに向かって手を沿わせると、やわらかさが一層増した。
 ゆかりを包む下着のラインに沿って指をはわせると、彼女が緊張で震えた。ぎゅっと御影のジャケットの肩を掴んで、こらえる。御影は胸の突起をこれでもかと責めながら、もう一方の手でゆかりの手を包み込んだ。
 怖いことじゃないよ、と。
 そして胸を責めながら、彼女の「可愛いところ」に触れる。
「やっ……!」
 恥ずかしそうに身体をこわばらせる彼女。御影は下着の上からふくらみをたどり、くぼみに長い指をはわせた。熱くて、やわらかくて、じっとりと湿り気を帯びている。
「やっ。だめぇ……!」
 閉じようとする脚を押さえつけ、指を押しつける。するとゆかりがなおも脚を閉じようとするから、御影は無理やりにゆかりにキスをした。深くキスをすると、一瞬、脚の抵抗が弱まった。
「ゆか、り……!」
「ん……ぁン。んン……ん」
 湿った吐息を飲み込み、くちゅくちゅと音を立てながらゆかりをむさぼる。その隙に不意打ちのように彼女のやわらかな部分をこすり上げた。
「あ……やぁぁぁぁン。……ぁン!」
 熱を持ったそこは、下着をぐっしょりと濡らしていた。
 やさしく前後にこするとそれだけでゆかりの声が高くなっていく。
「……あン! やぁっ……あぁン、あッ、ああッ!」
 下着の上から丁度小さな突起のある辺りを探り当てると、彼女が震える声でひときわ大きな声を上げた。
「あぁぁああ!」
 くにゅくにゅと指を動かし、感じやすい部分を責め立てる。
 次第に少しずつ指を速めてゆく。
 ゆかりの身体が震え始めた。彼女が感じているのが分かる。
「やだ……、だめ……みかっ、やぁ!」
 ジャケットを握る彼女の手にぎゅっと力が込められた。
「いいよ、ゆかり。イッても」
「やぁぁああッ! ぁあン、あン」
 御影の指先は熱と湿り気とでぐちゃぐちゃになっていた。ゆかりの熱で指先が熱い。
「ゆかり……!」
「みかぁ……ッン。んッ……ぁン、だ……めぇ。……やぁぁぁぁぁン!」
 甲高いゆかりの声が響き、彼女が身体を弓なりにしならせた。
「あああぁぁぁぁぁン!」
 その瞬間、ビクビクと彼女の身体が痙攣した。
 彼女が声にならない声を上げる。
「…………!」
 やがてゆっくりと彼女の全身から力が抜けていった。
 そして荒い息をつく。
 くったりとしながら、彼女がベッドカバーに沈み込んだ。
「はあ……はあ……はあ……」
 それでも御影のジャケットからは手を離さない。無意識なのが分かって、それが嬉しかった。
 御影はその手にキスを落とすと、ゆかりに微笑みかけた。
「ごちそうさま。気持ち良かった?」
 にこにこと問いかけると、かあっとゆかりの頬が染まった。いや、もうすっかり限界まで顔は赤くなってしまっていたから、すねた表情からそう見えただけだ。
 乱れた呼吸のまま、恥ずかしそうに顔をそむけるゆかり。その頬にキスを落とし、ぎゅっと抱きしめた。
「可愛い」
「……ばか」
 でも本当に可愛いんだから仕方がない。
 少し身体を離し、濡れていない方の指で髪をすいてやり顔を近づけると、それに気付いたゆかりもこちらを向いたので、触れるだけのキスを交わした。慈しむようなキスをして、そして少し深いキスを交わす。
 ゆかりの呼吸は乱れたままで、唇の間から熱い吐息がもれる。疲れ切っているために彼女はすっかり脱力してしまっていた。
 御影はベッドを軋ませ起き上がると、自分のリボンタイに手をかけた。
「このままだと制服が汚れるから脱ごうか。……熱いし」
 そしてジャケットを脱ぎ去る。脱いだジャケットを床に放り、再びゆかりの上で四つん這いになった。
「え……?」
 そして戸惑うゆかりにお構いなしに、迷わず彼女のスカートに手をかける。あっという間にウエストのホックを外し、ファスナーを下げ、そしてするすると脱がし始めた。
「ちょ……御影?」
「少し腰浮かしてくれる?」
 言われて思わず腰を浮かせると、あっさりとスカートをはぎとられてしまった。
 そして下着に手をかける御影。
「だ……ダメ!」
「ダメじゃないよ。ほら、手、離して」
「イヤ!」
「じゃあ、きみがわたしの、脱がしてくれるかい?」
「え?」
 そう言って御影が身体を寄せる。そしてゆかりの手を取りボタンに手をかけさせると、ゆかりの頬が真っ赤に染まった。
「そんな……!」
「脱がされるのが嫌なら、脱がしてよ。……ね?」
 無茶苦茶な理論だが、間近で微笑みかけると、戸惑った彼女がどうしていいか分からず、唇を噛んでうつむいてしまった。小さく縮こまって困り果てている。
 服を脱がせるくらいどうってことないと思うが、こういった経験のないゆかりにとっては大問題なのだろうう。御影は笑いをかみ殺しながらやさしくゆかりの髪をもてあそんだ。指が耳に触れると、彼女が肩をすくめた。そんな仕種も可愛くて。
「……ね?」
「……じゃあ……」
 やがて消え入りそうな声でそう言うと、決心したらしいゆかりが顔を上げた。恥ずかしさに瞳がうるんでいる。そしてゆっくりと御影のワイシャツのボタンを外し始めた。沈黙が彼女の緊張を物語っている。
 ウエストまでボタンを外し終えると、うかがうように御影を見やる。
「ベルトも外して」
 そう言うと今度こそ耳まで真っ赤に染まってしまい、目をみはった。
「でないと脱がせられないだろ?」
「それは……そうだけど……」
 口ごもるゆかりの手を取って、バックルに触れさせる。すると観念したらしく覚束ない手つきで彼女がバックルを操作し始めた。しかしながら自分のならともかく、対面しているのでやりづらそうだ。けれどそんな手つきがかえって愛おしい。
 やがてベルトの剣先がバックルから抜き取られた。
「それから?」
 そう言うと目を逸らしながら、スラックスのボタンに手をかけた。しかしそこから先が続かない。ボタンを外した姿勢のまま固まってしまう。
「も、もういいでしょ」
「だーめ。まだ半分も脱げてないだろ?」
 すると案の定うつむいてしまう。ふたりっきりのベッドの上でスラックスのファスナーを下ろす――品行方正なセイトカイチョーさまにとっては、ずいぶんとハードルが高いに違いない。それでもゆかりは長くためらってから、ファスナーに手をかけてそれを下ろしてくれた。
 けれど今度こそ本当に顔も上げない。きっと顔を見られるのが恥ずかしいのだろう。ぴったりと脚を閉じ、辛うじて羽織っているブラウスで足元を隠しては、身を固くして縮こまる。  御影は真っ赤になった耳に触れ、ご褒美のつもりで、うつむくゆかりの頭に小さくキスをした。
 すると彼女がもう限界とばかりに御影の胸にこつんと頭を寄せた。
 それを見て御影は自らの手でワイシャツを脱ぎ始めた。驚くゆかりの目の前で、黒いシンプルなデザインのブラも脱ぎ捨てる。突然露になった御影の裸の胸に、ゆかりが息を飲んだ。
 スラックスも靴下も、ブラとペアのショーツも脱ぎ去り生まれたままの姿になって、押し倒すようにゆかりに覆いかぶさる。
 再びゆかりが真っ赤になった。
「み、みか――」
「好きだよ、ゆかり」
 真正面から少し低めの声でそう言うと、ゆかりの全身から力が抜けていくのが分かった。髪をなで口づけると、はっきりそうと分かるほど顔が真っ赤になる。
 御影はゆかりの肩にかかったままのジャケットとブラウスに手をかけると、彼女の肩を抱き、脱がし始めた。脱げたジャケットとブラウスが重なったまま、ベッドの下に落ちた。
 それから胸の上に引っかかったままのブラをそっとはぎ取ると、小さな下着一枚を残して全身が露になった。
 そしていよいよ最後の一枚に手をかける。
「だ、……だめ!」
 すると案の定、手を伸ばして彼女が抵抗してみせるから、御影は肩を押さえつけながら彼女にキスをした。その間に、ショーツに手をかけ、起き上った瞬間スルスルと脱がしてしまう。あっという間にゆかりまでが生まれたままの姿になった。
 豊満な胸、くびれた腰、つややかな肌。一糸まとわぬ彼女は綺麗だった。
 それでいて今までショーツに守られていたそこが潤みきっているのが分かる。
「みかっ、いやっ……ン」
 御影はショーツをベッドの下に放ると、そのまま彼女に口づけ、すかさず胸の突起を口に含んだ。
「いやぁ! ……やぁン」
 まだ先ほどの快感が残っているのだろう。やけに敏感になったゆかりが身体をくねらせた。ちゅうちゅうと音を立てながら吸うと、恥ずかしそうにゆかりが先ほどよりも激しく身もだえる。高くなった声が御影の鼓膜を、そして全身を刺激する。汗ばんだ姿態が御影を誘う。
「ゆかり」
「いやン。ああ……ン、あン。……ンぁぁあん」
 触れ合う肌と肌が熱かった。
 御影は身体を押しつけるようにしてゆかりに圧し掛かると、彼女の股間に指を触れさせた。初めて直に触れる彼女のそこは、ふわふわとやわらかくて、そしてとろけてしまいそうなほどに潤みきっていた。
 指で割れ目をなで上げると、彼女の愛液が指に絡みついた。少しだけ深く触れると、初めての感触にゆかりが全身を震わせた。小さな突起に触れると、ひときわ大きな声を上げた。
「いやあぁん! だめぇ!」
 御影の大きな手が全体を包み込むようにしながら突起をこすると、ビクビクと全身が震えた。くちゅくちゅと愛液があふれ出す。
「ああン! やぁっ……あン。やぁっ……あン。いやあ! ぁぁあああ!」
 その瞬間、彼女が首にしがみついてきたので、キスをした。深くキスをしながら彼女の敏感になった部分を責め立てる。舌で彼女の口内を責め、指で彼女の大事な部分を責める。
「やぁン! ……あン、あぁン、やあぁ……!」
 突起を刺激されるたび、ゆかりの嬌声が高くなってゆく。
「だめぇ……! あン、やぁあ……やぁン!」
 御影は少し腕を立てると、ぐっと指を挿入した。愛液に守られたゆかりの中に指が飲み込まれていく。
「……あぁぁぁああああン!」
 深く押入れ、かき回す。彼女の中は熱くて、そしてとろとろになっていた。
 くちゅくちゅと水音が立つ。
 内壁を刺激するように指を動かすと、彼女が昇りつめて行くのが分かる。
「いやぁ……あッ、あぁッン、ン……」
 今や彼女の全身は熱を持ち、どこもかしこもピンク色に染まっていた。汗ばんだ肌が手に吸いつくようだ。敏感になっていた彼女はもう限界に違いない。
 ――でも。
「まだイカせないよ」
 御影はそう言うと、おもむろに指を引き抜いた。
 頬を染めたまま驚く彼女。
 御影はくすりと笑うと、彼女の色づいた太ももに手をかけ、そしてやわらかな腹部にキスを降らせながら少しずつ後ずさった。ゆかりの白い肌にキスの軌跡が光る。キスがへその辺りまでたどり着くと、御影がゆかりの脚を大きく開かせた。「彼女」が露になる。
 驚くゆかり。
 御影はそのまま肌を舐めるように唇を下ろしていく。
「いや……!」
 ゆかりが察した時には、御影は下から抱え込むようにゆかりの脚を開かせ、曰くゆかりの「可愛いところ」に唇を寄せていた。
「いやぁ! だめっ!」
 茂みの中にまであふれ出した愛液を音を立ててすすると、ゆかりが悲鳴を上げた。
「いやあぁぁ!」
 大きく口を開き、舌全体を使ってなめ取る。彼女のそこは熱く濡れそぼっていた。指で触る以上に彼女を感じられて、御影の興奮も高まってゆく。
「だめぇ、そんなとこ……! いや! やだ! そんなことしないで!」
 まるで子供みたいに怒るゆかり。その声が御影を煽る。
「大丈夫。……ん、おいしいよ」
 丁寧に、それでいてねっとりと舌を押し付けるようになめる。するとふるふるとゆかりの身体が震えた。
「いや……ぁ」
 消え入りそうな声で抵抗するが、最早それは媚薬にしかならない。
 小さな突起を探し出し、唇ではみ、舌を押しつけると今度こそ彼女が甘ったるい嬌声を上げた。何度も執拗にそこを責め立てると大きく身をよじる。まるでそれ自身が生き物のような舌にねぶられ、ゆかりが身もだえた。
「いやあン、あン……あぁン。……やぁぁぁぁぁン!」
 一度達しかけた興奮が戻りかけているのだろう。彼女の呼吸が荒く速くなっていく。御影は愛液を飲み込み、深く舌をねじ込んだ。音を立てて愛液を吸い上げる。
 御影の愛撫に踊らされながら、ゆかりの興奮が高まってゆく。それを察した御影が激しく舌を動かした。
「やぁ、あ……みか、あぁン! みか――」
 その時ゆかりが、ももを押さえていた御影の手を掴んだ。見上げると、頬を上気させたゆかりが懸命に刺激にたえていた。
 そして何かを言いかける。
「みか……ン、……ぁあン! いや……」
 それでも御影はなおも執拗にゆかりの敏感になった場所を責め立てた。唇も舌もすべてを使い、彼女を追い立てる。
「やあ…………」
 踊るような舌の動きに、ついに彼女がビクビクと身体を震わせた。
 そして達する直前――。
 彼女がこちらを向いた。

 ゆかりが、微笑った。

「御影……大好き」

 ――天使のような笑みを浮かべて。

 そして彼女の全身から力が抜け落ちた。
 その瞬間、御影は自分の中で彼女を追い立てていた興奮が、自分の意志とは無関係に全身を貫くのが分かった。
 ドクドクと脈打つ心臓が痛い。
 御影は、脱力したゆかりに少し身体を重ねるようにして身を横たえた。触れ合う素肌の感触があたたかくて気持ち良かった。
「はあ……はあ……はあ……」
 部屋にはふたりの熱っぽい呼吸だけが満ちていた。

 ――反則だ。
 御影はすぐ横で寝息を立てるゆかりを見て、そう思った。あんな顔してあんなこと言われて、冷静でいられるはずがない。
 けれど彼女は起きそうにない。
 ぐっすりと眠るゆかりの髪をもてあそび、御影はくすりと笑った。
 果てた後、ゆかりは照れて微笑むと、まるで子猫かなにかのように隣に横になった御影にすり寄ってくると、ぴったりと抱きついた。彼女の凹凸のはっきりしたボディラインを感じ、御影はまたぞろ身体の中心がうずき出すのが分かったが、まるきり無邪気な彼女を見て、湧き上がったスケベ心をどうにか抑えたのだった。
「……大好き、か」
 普段の彼女からは想像もできない言葉だ。
 彼女は常に周囲の期待に添い、完璧に学園のお姉さまを演じ切っている。性分なのだろうが、一度こんな彼女を見てしまうとどうも心配になってしまう。
 御影は少し冷え始めた彼女の肩に触れてキスを落とした。そして彼女を包むように毛布を肩まで引き上げる。
 彼女の寝顔を見ていたら、こちらもなんだか眠くなってしまった。御影は小さなあくびをひとつこぼすと、自分も毛布の中に入り込んだ。
 明日はなんとしても彼女より早く起きねばなるまい。裸のままで眠りに落ちてしまった彼女はきっと、照れてとても可愛いだろうから――。

「おいおい。何してるんだい?」
 突然声をかけられ、ゆかりは肩を震わせた。
 すぐに背後から手が伸びてきて、後ろから眼鏡を取り上げられてしまった。そしてそのままするりと腕が首に巻きつき、頬にキスを落とされる。
「み、御影……」
「こんな時間に何して――って、まだ二時じゃないか」
 御影が机で煌々と光るエア・モニターの時計を見て、眉をしかめる。そして手の中でもてあそびつつ、気まぐれにゆかりの眼鏡をかけてみせる。
「課題があったから、気になって」
「って、あんなことの後でよく課題なんてする気になるな、きみは」
「仕方がないじゃない」
 そうは言われても気になって仕方がないのだから、しょうがない。「夏休みの宿題は計画的に」がポリシーのゆかりには、後回しにするなど端からできない相談なのだ。
 不意に御影が部屋着越しに胸に触れようとするから、その手をぴしりと叩いた。
「あいた。けち」
「そういう問題じゃありません。邪魔しないで」
 けれどなおもパイル地のショートパンツから伸びた脚に手を伸ばす御影。ゆかりはその手を掴むと遠慮なく押し返した。ぶーぶーと御影が口を尖らせる。
「ムードがないな、きみは」
「ムードがなくて悪うございました。ほら、ふざけてないで返して」
 そう言って手を伸ばすと、ひょい、と逃げられた。
 眼鏡ごしに彼女がにやりと笑う。
「キスしてくれたら返してあげよう」
 まるで子供だ。
 ゆかりはあきれたように目を細め、ふいっと顔をそむけた。
「じゃあ結構よ。あなたは寝たら? お休みなさい」
 わざとつれなく言うと、あまりの物言いに案の定御影が眉尻を下げた。普段素行のよろしくない御影は結局ゆかりに頭が上がらないのだ。
「おいおいそりゃないだろ。分かったよ。眼鏡は返すって」
 ベッドではいいようにもてあそばれはしたが、ようやく調子が戻って来たような気がしてゆかりは満足げに笑顔を浮かべた。――が。
 眼鏡を返す振りをして御影がこちらに眼鏡のつるを向けた瞬間。
 御影がちゅっとキスをした。
 途端にゆかりの頬が染まる。
 さらにその隙をついて、抱きしめられ、すぐにキスが深くなる。
「ちょっ……みか……んン!」
 逃れようとしても御影の力は強くて逃げられない。
「あン……ん!」
 ようやく唇を離した時には、心臓が早鐘を打っていた。
「ごちそうさま」
 そう言う御影に小さな声で文句を言うのが精一杯で。
「……ばか」
 けれど次に聞こえた御影の言葉に今度こそ本当に顔から火が噴く思いがした。
 にっこりと笑って御影が言う。
「可愛かったよ、ベッドのきみも。今も」
 その時、御影の腕時計の時報が小さく鳴った。御影が床に放りだしたものを、ゆかりが拾っておいたのだ。
「さて、夜は長いし、もう一度きみの可愛い顔を見せてもらうとしようか」

THE END


↑よければポッチリお願いします



あとがき

★御影さん、めっさどーしよーもない人でした。書いててびっくりしました(笑)
★ゆかりさん、めっさ乙女でした。書いてて(ry

★いや、この二人はキャラを作った時から全然ブレなくて、同人書いてる時もホント書きやすかったんです。単体でもブレないし、カップリングとしてもブレないし。終着点がちゃんと見えていたというか。

★そしたら実際書いてみたら、こんな終着点でした(笑)

★いやそれにしても、ゆかりさんってば女の趣味、悪っ。きっとね、こういう人って何度人を好きになってもダメダメな奴にひかれちゃうんですよね。御苦労が忍ばれます。
★あと、めっさ暗い人です。プログラマだし。
★ちなみに同人本誌で出て来た「妖精のいたずら(エコーズ・トリック)」のエコーとは、ナルキッソスに恋しても報われなかったニュンフの名前です。ゆかりさん、自虐的にそんな名前つけてます。暗いんです。(やまびこの意のエコーの語源の妖精です)

★あとこの話の一番の肝。

★ラストのシーンで、ゆかりの後ろから御影がゆかりの眼鏡を取り上げる所!(ええ〜)
★このシーンが書きたくて書きました。ビバ眼鏡プレイ(おい)
★ちなみにそんなに度数は強くありません。勉強とか授業の時にかけるくらい。亜美ちゃんと一緒です(おい)


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